歯ぎしりは日本人の70%~80%がしていると言われるほど、私たちにとって身近なものです。
このうち歯ぎしりを自覚している人はわずか10%程度とされています。
自分では歯ぎしりしていないと思っていても、実は歯ぎしりしていたというケースは決して少なくありません。
そして歯ぎしりを放置していると口の中だけでなく、体全体に悪影響を与えることがあります。
あなたの原因不明の体調不良は歯ぎしりが原因かもしれません。
今回は歯ぎしりに関するさまざまな疑問にお答えします。
歯ぎしりの原因と影響
Q:歯ぎしりの原因を教えてください。
A:歯ぎしりの原因にはストレスや習癖などが挙げられます。
寝ている間に起こる歯ぎしり(睡眠時ブラキシズム)の主な原因はストレスです。
ストレスが溜まっていると寝ているときに口周りの筋肉を緊張させてしまうため、歯ぎしりが起こります。
また特定の歯だけが強く接触しているなど、噛み合わせの悪さも原因のひとつです。
一方、目覚めている間に起こる覚醒時ブラキシズムは個人の習癖であると考えられています。
ただし覚醒時ブラキシズムによって口周りの筋肉の動きが記憶され、睡眠時ブラキシズムを引き起こすケースもあります。
Q:寝ている間に歯ぎしりするのはなぜでしょうか?
A:寝ている間に歯ぎしりするのは眠り浅くなっているためです。
眠りが深く熟睡しているときは筋肉の働きが抑制されるので、歯ぎしりは起こりません。
ストレスが溜まっていたり眠る前にアルコールやカフェインを摂取したりすると、眠りが浅くなるため歯ぎしりが起こりやすくなります。
また睡眠時無呼吸症候群や逆流性食道炎などの病気が原因で、眠りが浅くなっているケースもあります。
Q:歯ぎしりしているかどうかチェックする方法はありますか?
A:体や口の中の状態をチェックする方法があります。
朝起きたときに奥歯に痛みがないか、顎に痛みやダルさはないか、頭痛や肩こりが慢性化していないか、集中しているとき無意識に歯を食いしばっていないか、などをチェックしましょう。
また頬の内側に噛んだ痕はないか、舌を歯に押し付けた痕はないかを鏡で確認してください。
これらの症状がある場合は、寝ている間に歯ぎしりしている可能性があります。
もっとも確実なのは、ご家族など身近な人に歯ぎしりしていないかをチェックしてもらう方法です。
Q:歯ぎしりしやすい人の特徴を教えてください。
A:歯ぎしりしやすい人の特徴にはストレスを抱えやすい性格や、痩せ型体系などが挙げられます。
歯ぎしりの主な原因はストレスです。
ストレスを抱えやすい性格であるほど、歯ぎしりしやすくなります。
また噛み合わせの悪さも歯ぎしりの原因です。
痩せ型体系(BMI18.5未満)の人は嚙み合わせが悪くなる傾向にあるため、歯ぎしりしやすい人といえます。
そのほか日中に歯を食いしばったり、上下の歯を当てたりする癖がある人は、口周りの筋肉がその動きを記憶するため、寝ている間に歯ぎしりしやすくなると考えられています。
Q:歯ぎしりは体にどのような影響がありますか?
A:歯ぎしりが続いていると歯が削れたり、頭痛・肩こりを引き起こしたりするなど、体に悪影響を及ぼします。
歯ぎしりによって歯の表面が削れてしまい短くなるだけでなく、知覚過敏を引き起こす可能性があります。
歯ぎしりによって歯が揺さぶられると歯を支える骨がダメージを受けて、歯周病が進行してしまうケースも少なくありません。
また歯ぎしりによって筋肉の緊張が続くと首や肩のコリに繋がるため、慢性的な頭痛や肩こりを引き起こします。
そのほか歯ぎしりによって顎に強い力が加わると顎の筋肉や関節がダメージを受けて、顎関節症になってしまう可能性があります。
歯ぎしりの治療方法
Q:歯ぎしりの診断方法を教えてください。
A:歯ぎしり(睡眠時ブラキシズム)の診断は、問診や睡眠時筋電図検査によっておこなわれます。
問診では朝起きた時に歯や顎に痛みはないか、ご家族から歯ぎしりしていると言われたことがないか、歯がすり減っていないか、口内に噛み痕がないか、エラが張っていないかなどをチェックされます。
睡眠時筋電図検査は、筋電計を使用して睡眠中の筋肉の緊張と持続時間などを解析する方法です。
かかりつけの病院や歯科医院でウェアラブル筋電計の貸し出しがあれば、ご自宅でも歯ぎしりの検査が可能です。
Q:歯ぎしりの治療方法を教えてください。
A:歯ぎしりの治療方法には、ストレス管理やナイトガード(マウスピース)による治療などがあります。
歯ぎしりの主な原因はストレスです。
そのためストレス管理が歯ぎしりの根本的な解決法になりますが、社会生活を送るうえでストレスをなくすのは容易なことではありません。
そこでナイトガードを装着して歯や顎のダメージを軽減しながら治療していくことになります。
自分に合ったナイトガードを装着するだけで、歯ぎしりの症状が軽減されるケースもあります。
無毒化したボツリヌス菌を注射して、口周りの筋肉の動きを止める治療方法なども有効です。
個人差はありますが、ボツリヌス菌注射は3か月程度効果が持続すると言われています。
Q:歯ぎしりの治療に歯科矯正は効果がありますか?
A:歯ぎしりの原因が噛み合わせの悪さにあれば効果に期待できます。
特定の歯が強く接触したり、歯の詰め物・被せ物がぶつかったりすることが、歯ぎしりの原因になっているケースがあります。
歯科矯正で歯並びを整えることで噛み合わせの悪さが改善され、歯ぎしりが治まることもあるでしょう。
歯ぎしりの対策
Q:自分でできる歯ぎしりへの対策はありますか?
A:軽い運動やお酒を減らすなどの対策をおすすめします。
歯ぎしりの主な原因はストレスです。歯ぎしりの症状を軽減するために、散歩やストレッチなどの軽い運動をおこない、ストレス発散を心掛けましょう。
また、お酒を減らすことで眠りが深くなり、歯ぎしりの症状が改善するケースもあります。
歯ぎしりが治まらない場合は、ナイトガード(マウスピース)を歯科医院で制作してもらうことも検討しましょう。
保険が適用されるため、2,000~3,000円程度で購入できます。
通販などで販売されているマウスピースもありますが、奥歯までカバーできていないと、噛み合わせが悪くなってしまう危険性があるため注意が必要です。
Q:歯ぎしりを放置するとどうなりますか?
A:歯ぎしりを放置すると、将来的に深刻な症状を引き起こす可能性があります。
歯ぎしりによって歯が削れると、歯が欠けたり、折れたりすることがあります。
歯や骨がダメージを受けて、知覚過敏や歯周病が進行するケースも珍しくありません。
また、治療済みの歯から詰め物・被せ物が脱落してしまう可能性もあります。
さらに、顎の筋肉や関節に強い力が加わり続けることで、顎関節症を引き起こすこともあります。
口周りの症状だけでなく、慢性的な頭痛や肩こりの原因にもなるため、歯ぎしりを放置することは大変危険です。
Q:最後に、読者へメッセージをお願いします。
A:寝ている間に起こる歯ぎしりは、本人の意思で止めることは不可能です。
また、一度失った歯は二度と元には戻りません。
深刻な病態に発展する前に、信頼できる医師に相談することをおすすめします。
医師のアドバイスのもと適切な治療をおこなうことに加えて、ご自身でもストレスを溜め込まないようにしたり、お酒の量を減らしたりする努力を心掛けましょう。
あなたが健康で幸せな生活を送れるよう心から願っています。
編集部まとめ
今回の記事で、歯ぎしりはストレスが原因になって引き起こされることや、飲酒などで眠りが浅くなると歯ぎしりが起こりやすくなることがわかりました。
私たちが社会生活を送っていく中で、ストレスをゼロにすることは難しいかもしれません。
また、日々のストレスが過度な飲酒に繋がり、悪循環に陥ってしまうこともあるでしょう。
体の健康は歯の健康からと言われます。
「ただの歯ぎしりだから」「そのうち治まるだろう」と症状を軽視するのではなく、信頼できる医師のアドバイスのもと、できるだけ早く治療をおこないましょう。


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